『めちゃイケ』『アメトーーク!』
『ロンドンハーツ』『ぶっスマ』『やべっちFC』など
数々の超人気番組を手がける、
フリーカメラマン・辻 稔さんが見てきた、
テレビの裏側で起きたドラマを多いに語る。
中野 人気バラエティ番組のカメラマンとして活躍されてますが、ディレクターからの指名なんですか?
辻 今は、『めちゃイケ』と『アメトーーク!』、『ロンドンハーツ』、『やべっちFC』の矢部くんが出るロケなどをやらせてもらっていますが基本的には指名をしていただいています。以前は『ニユーテレス』という会社にいたんですけど、そこで7年やって『ニユーテレス』を辞めた人たちが作った『スウィッシュ・ジャパン』に移籍して、そこで10年。で、今フリーで3年目です。
中野 そもそも『ニユーテレス』に入ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
辻 ちょっとミーハーなんですけど、当時とんねるずさんが『オールナイトフジ』で『ニユーテレス』軍団と呼ばれていた技術チームをイジっているのを見て、あ、こういう会社があるんだと知ったんです。そこで、「あ、この人のカメラワーク素敵だな」って思うカメラマンを見つけたんですよ。番組で活躍されていた高田さんというカメラマンさんだったんですけど。
中野 普通、素人としてテレビを見ていて「このカメラマン上手いな」っていう目線はないじゃないですか。
辻 僕は高校生のときからなんとなくありました(笑)。
中野 高校生のときからカメラマンになろうと思っていたんですか?
辻 思ってましたね。実は高校生の途中くらいまでは、テレビドラマの影響で学校の先生になりたくて、大学に行けるような付属高校に通っていたんですね。そこで放送部に入って、いろいろな番組を作ったりしたわけですよ。で、高校2年生のときに僕たちが作った作品が全国で、1位と0.5点差で2位を獲りまして、審査員の寸評に「カメラワークがプロ級」、「来年もこのカメラワークを見たい」とか書いてあったんですね。それで、「学校の先生になるよりカメラマンの方が自分に向いてるのかな」と思ったんです。
中野 ちなみにそれはどんな番組だったんですか?
辻 女子ソフトボール部を追いかけるドキュメンタリー番組。スポ根ものです。そういうことがあったもので、こっちの道に進もうと思ったんです。ちょうどその頃ですよ、とんねるずさんが『オールナイトフジ』をされていたのが。
中野 じゃあ、テレビの世界に行こうと思ったのはとんねるずの影響なんですか?
辻 確かにそれは大きいですね。こういう会社楽しそうだなと思ってね。実は音楽が好きで音楽番組をやりたかったんですけど、仕事をやっていくうちに笑いの魅力にも気付かされて。
中野 デビュー番組はなんだったんですか?
辻 正確に言うと『オレたちひょうきん族』の後期あたりなんですが、こういう質問をされた時にいつも答えているのは『志村けんのだいじょうぶだぁ』っていう番組なんです。この番組は僕が4月からこの世界に入るという年の、前の年の10月からはじまった番組だったんですね。番組創世期だったので、ものすごい活気がありましたね。そこでアシスタントからはじめさせてもらって、番組を5年くらいやらせてもらったんですが、カメラは全部で5台あるんですけど、最終的には3番手カメラマンまでやらせてもらいました。 この番組にはお笑い、バラエティ番組のイロハをみっちり叩き込まれました。 ですから、志村さんとこの番組の関係者には本当に『感謝』の一言につきます。
中野 そもそもカメラマン社会の構造はどうなっているんですか?
辻 何人かのカメラアシスタントがいて、その中にもチーフがいるわけですよ。そして次は番組によってカメラ台数が違いますけど、例えば5台ある番組だったら5番目のカメラマンからはじまって4番、3番、2番で1番(チーフ)になります。カメラ台数にも意味があって、例えば2人の漫才だったらツーショットとワンショットづつを撮るから、まず最低3台のカメラがいるじゃないですか。それで引きの絵が欲しいから4台、お客さんがわっと沸くのを押さえたいから5台という感じ。
中野 なるほど。例えば『アメトーーク!』は何台なんですか?
辻 『アメトーーク!』は基本7台でやっています。中野さんは、『アメトーーク!』をずっとやってるからわかると思うんですけど、あの番組、最初は4台で始めたんですよ。なぜ4台だったかっていうと、最初はゲストが一人とか、二人だったんですよね。だんだん団体になっていったので、カメラ台数も増えていったんです。
中野 スタジオ収録に行って驚くのは、辻さんすごく動き回ってますよね。チーフカメラマンはそういうものなんですか?
辻 これまた難しい話になるんですけど、カメラポジションには攻めのカメラと守りのカメラがあるんですよ。守りのカメラがグループショットをしっかり、いつ誰がしゃべってもいいようにするカメラで、僕は逆に喋っている人をとにかく撮るっていう係なので、攻めのカメラなんです。例えば雨上がり決死隊側だったらツーショットを押さえるのが守りのカメラ。つまり、ワンショットを撮っているカメラは1台しかないので、宮迫さんか蛍原さんどっちかしか撮ってないんですよ。ツーショットのカメラは100%使えるようにしているけど、ワンショットのカメラは100%は使えない。だから若いカメラマンがツーショットを撮って、もう少し上のヤツがワンショットを撮るとか。それで僕は一番大変な、誰が喋るかわからない十数人いる芸人のワンショットを撮っています。