『アメトーーク!』や『ロンドンハーツ』で
音響効果を一手に引き受けている栗田勇児さん。
BGMや効果音など、普段あまり意識することがない
"TVの中の音"の存在意義や聞けばなるほど!な
テクニックを語っていただきました。
中野 元々この仕事に就くキッカケはなんだったんですか?
栗田 始めたのは22、3歳とちょっと遅くて。それまではバーテンとかフリーターをやってました。服飾の専門学校にも通ってたんですけど、1年でドロップアウトして。それで当時(14、5年前)フォトショップとイラストレーターが使えればデザインの仕事がもらえる求人がけっこうあったんで、グラフィックの仕事をやりたいなぁと思って履歴書を3通送ったんですよ。それで採用されたのがたまたま音効の会社で。
中野 それは音効の会社でフォトショップやイラストレーターを使える人を募集してたってこと?
栗田 いや、そこはMacを使うって書いてあったのと、面接に行ってみたら音楽とか音を扱う仕事だと聞いたんで、音楽好きだしやってみようかなと。だからTVの仕事だと思ってもなくて、縁でやってみたらたまたま続いたという感じです(笑)。
中野 ほかの音効を目指す人というのは専門学校みたいなところに通って入ってくるんですか?
栗田 音効の学校はないです。映像とかの学校で、自分たちで撮った映像に音もつけてみるくらいのレベルでやるだけで、音に特化したコースはないと思います。職種自体そんなに知られてないと思うんですよね。
中野 じゃあ目指すっていうよりはたまたま入ってくる人が多い?
栗田 編集のアシスタントをやってた子とかADをやってた人たちが音効の仕事を見てやってみたいと思って移行してくることもあります。あとは大きい会社だったら編集も音効もMAミキサーもあるんで、そういう会社に入れば選択肢はあるんじゃないですか。
中野 なるほど。ファジーなところが、放送作家に近いんだなぁ。学校出たからってなれるわけじゃないし、出なくてもなれるし。栗田さんが最初に入ったのはどこの会社だったんですか?
栗田 OCBプロです。入社して3年目くらいに僕の師匠世代が一気に独立して3社くらいに分裂したんですよ。そこから僕は先輩の会社に移って、最後はデジタルサーカスにいて、6年前に独立しました。
中野 デジタルサーカスということは『めちゃ×2イケてるッ!』とかをやってる笠松さんが師匠筋?
栗田 あ、そうです。
中野 放送作家やディレクターにも師匠筋ってあるけど、音効さんの場合、師匠からどういったことを学ぶんですか?
栗田 機材の扱い方から音の扱い、効果的な音の付け方とか...。具体的に説明するのは難しいですけど、最初はマネから入って、だんだん自分のテイストを出していく感じですね。仕事に対する姿勢とかストイックさは学びましたけど、あとはもう個人のセンスというか。
中野 僕が音効で驚いたのは、随分さかのぼるけど『特命リサーチ200X』なんですよ。情報番組をスペクタクルに見せる音づけが斬新で。情報を音楽でグイグイ引っ張ってく手法が新しいなぁと思って。最近だと『タモリのヒストリーX』も感服した。歴史上の新事実をタモリさんに話すというトーク番組でしたけど、普通はトークにはつけないような音楽がついてて、話をさらにドラマチックにしてた。最近知ったけど、この番組を担当してたのが栗田さんの後輩だったんですね。
栗田 松長とは昨日も一緒に飲んでたんですけど(笑)。アイツは器用だしけっこうニュータイプだと思います。師匠をもってないし、どこの流れも汲んでない独自の音をつけるというか。
中野 音が前に出てくるタイプですよね。主張の強さが面白いと思った。栗田さんがすごいなと思う音効さんっているんですか?
栗田 笠松さん(めちゃイケ)、日テレ系の森山さん(ナイナイサイズ)、松長(はねるのトびら)の3人はズバ抜けてると思います。
中野 機会があれば是非、皆さんの話もお聞きしたいですね。
中野 『ロンドンハーツ』を見てるとSEの種類の多さに感心するんですよ。とぼけたSEもあれば緊迫感のあるSEもあって、それが的確にハマッてオチのセリフをサポートしてる。ああいう音ってどこから入手するんですか?
栗田 師匠筋から受け継いだものもありますし、音楽のCDから一音だけ抜いて加工したりもします。たまたま音楽とかCDとか聴いてて、使えると思った時に抜いとくようにして。
中野 それはどういう風に管理してるんですか?
栗田 人それぞれですけど、僕は"ポカッ"とか"コンッ"とか音の感じを書いてます。そこで難しいのが、ずっと一緒に仕事してる人でも「いつもの"ピョーンッ"をつけたいんだけど」って言われて「え、"ピョーンッ"てどれですか?」って(笑)。
中野 "ピョーンッ"もいっぱいあるから(笑)。そういうの面白いなぁ。それってもう自分のセンスで選び出すしかないですもんね。
栗田 そうですね。SEの方が音が主張するから難しかったりするんですよ。それにどの番組でも同じSEが使われてたりするから差別化もしたいし。SEでもやっぱりベタなSEとか尖ったSEがあるんです。
中野 古くはドリフのオチのあとの"チャン、チャンッ"とかですよね。それをもっと短い音で表現する。
栗田 けっこう"プッ"とか"ピッ"とかいうだけでもいろんな表現ができるんですよ。
中野 ですよね。その種類が栗田さんは豊富だなと思うんですよ。そういう効果音も含めて、音楽はかなり幅広くチェックしてるんですか?
栗田 民族音楽からアニメサントラ、映画音楽と、好きじゃないジャンルでも何でも聴きます。
中野 それってみんな自分で買うんですか?
栗田 そうですね。
中野 TUTAYAで借りるとかはない?
栗田 僕は買いますね。僕、ジャケットで覚えるんですよ。なんかあの緑っぽいジャケットのCDに使えるのがあったなぁとか。
中野 あぁ、判る。
栗田 だから買うようにしてます。ジャケットにはポストイットをどんどん貼って、これはファンファーレ風のが入ってるとかメモも書くし。あと基本的に1回使った曲をよその番組で使いたくないんで、使った曲はチェックしておいて曲かぶらないようにとかも気をつけてます。